2014年10月

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生き抜け!

海鳥は、その名のごとく海とともに生きている鳥たちです。海の上を飛び回り、潜り、波の上で眠り、そんな彼らにも 卵を産み、ヒナを育てるために、陸地(島)が必要です。小笠原群島は、たくさんの海鳥が集います。そして、主な繁殖の季節によって、夏繁殖型、冬繁殖型と分かれます。アナドリは夏繁殖の代表種。8月初旬に卵から孵ったヒナは黒い毛玉のようです。防水性のない、ホワホワの綿毛に包まれたヒナは、生まれてすぐに、巣穴の中でひとりにされます。一羽で餌を運ぶ親鳥の帰りを待ちながら、ヒナはぐんぐん大きくなっていきます。少しづつ成鳥羽に生えかわり、最後に尾羽がのびたら巣立ちです。2ヶ月半、すでに季節は秋に入ります。毎年、台風シーズンと重なるこの時期の巣立ちに、うっかり不時着した巣立ち鳥。ガンバレヨと声をかけずにいられません。陸地ではか細く見える、足や翼、しかし、海の上の彼らは違います。たくましく、しなやかに、自在に青に溶けていきます。