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小笠原に関わる研究をされている研究者・調査者のみなさまへ


小笠原自然文化研究所の新型コロナ対応について(2023年1月現在)

2023年1月現在、小笠原自然文化研究所では、上京から帰島した職員に対しておがさわら丸の乗船前PCR検査に加えて、帰島後4日間の自宅待機を実施しています。なお、体調チェックに加えて、帰島後3日目、4日目には、独自に抗原検査を行い、連続「陰性」が確認された後で、職務復帰しています。
来島研究者・協働者に対しても、基本的に同様な対応をお願いしておりますが、1航海のみの滞在者等には、到着日より、毎日の抗原検査を実施することで共同作業等を実施しています。

動画配信リンクについて

左サイドのメニューに「動画配信リンク」が追加されました。
小笠原関連の講演会や活動を紹介する動画配信のリンク集です。
興味のある方ぜひご覧ください。

新種5種発見!オガサワラヒメトビケラ類

 ヒメトビケラ類の分類学者である伊藤富子さん(北海道水生生物研究所)、分子系統解析を担当された菅原弘貴さん林文男さん(東京都立大学)と当研究所の共同研究成果が、学術雑誌Zootaxaに掲載されました(https://doi.org/10.11646/zootaxa.5231.2.2)。

 トビケラ、カゲロウ、カワゲラの仲間は“川虫”の御三家と呼ばれる代表的な水生昆虫です。世界の河川や湖沼に多種多様な種が生息し、水質を評価する指標生物でもあります。しかし、淡水生物ゆえに絶海の海洋島小笠原に定着できた種は限られ、カゲロウとカワゲラは皆無、数種のトビケラが知られるのみでした。今回、そのうちの1種のオガサワラヒメトビケラにそっくりな新種が一挙に5種見つかりました。

 トビケラの成虫はガに似ていますが、羽は鱗粉の代わりに細かい毛が密生し、可愛らしい姿をしています。特徴的なのは水中生活を送る幼虫で、筒巣(つつす)という寝袋のような巣を背負っています。筒巣は幼虫が糸を吐き、水中の砂粒、落ち葉、藻類などを紡いで作ります。その素材・形は種によって様々で、時にその秀逸な自然美に圧倒されます。

 これまで小笠原諸島の河川からは多くの固有種が発見されてきましたが、いずれも祖先種が隔離された後に単一の固有種へと種分化した事例でした。しかし、オガサワラヒメトビケラ種群は、小笠原諸島内で複数の固有種に分化したことが突き止められた最初の陸水動物で、また形態も生息環境も特異的な変化が生じています。詳しい内容を知りたい方はぜひサイドメニュー「1.小笠原の生物」より和文要約をご覧ください。

オガサワラヒメトビケラ種群の幼虫
主に滝に生息する種の幼虫の頭部は丸い。
ムグリヒメトビケラの幼虫
河床間隙(沈み石の裏)に潜って暮らす種の頭部は扁平で尖る。
ナガハマヒメトビケラの成虫
トビケラの仲間の羽は鱗粉の代わりに密な毛で覆われる。

特別展「絶海の自然 硫黄列島をゆく in 小笠原」開催のお知らせ

 小笠原諸島の硫黄列島は、硫黄島とその南北に位置する北硫黄島・南硫黄島の3島からなります。北硫黄島は戦前まで人の暮らしがあり、硫黄島は太平洋戦争の激戦の地、そして南硫黄島は人が定住した歴史を持たない原生自然の島です。異なる歴史を辿った3島の自然はこれまで謎に包まれていました。近年、東京都などによって北硫黄島と南硫黄島の自然環境調査が繰り返し行われ、生物相が明らかとなってきました。硫黄列島は、誕生間もない西之島と、より歴史の古い小笠原群島との間に位置する若い島々です。硫黄列島の自然を調べることで、小笠原諸島の生物進化や生態系保全の手がかりを得ることができます。特別展では、最近の調査成果をもとに硫黄列島の魅力をお伝えします。

この特別展は、2021年7月から10月にかけて、神奈川県立生命の星・地球博物館において開催された特別展の里帰り企画です。同博物館で展示された解説パネルや標本を再構成して開催いたします。

開催期間:2022年4月30日〜2023年3月
開催場所:小笠原ビジターセンター

写真絵本『おどろき!おもしろい!小笠原の水の生きもの』発刊のお知らせ

 この度、写真絵本『おどろき!おもしろい!小笠原の水の生きもの』を発刊いたしましたのでご案内させて頂きます。IBOでは2011年から、島っ子に向けた小笠原の自然に関する副読本づくりを進めています。今作は、『オガサワラオオコウモリ森をつくる』、『アカガシラカラスバトの棲む島で』に続く3作目、自費出版・小笠原の生きものシリーズの2作目にあたります。控えめな存在ながら、人と同じく水を利用する仲間である川や海岸の生きものにスポットライトを当てました。これまでに撮りためた写真を使用し、彼らの興味深い世界を島ライター有川美紀子さんに綴って頂きました。イラストレーター池田泰子さんが描いたオガサワラヨシノボリや川の風景も必見です。今後は島内で実施する観察会で配布し、水辺の学習や保全に役立てて行きたいと思います。

 ご希望の方には父母IBO事務所にて税込み1300円でお渡しいたします。島外の方でしたら、送料250円を足して頂ければ発送いたします。島外でご希望の方は、i-bo@ogasawara.or.jpまでご連絡ください。

特定非営利活動法人(NPO法人) 小笠原自然文化研究所
〒100-2101
東京都小笠原村父島字西町
光子ハウス1号
Tel&Fax:04998-2-3779
e-mail:i-bo@ogasawara.or.jp