2012年

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「小笠原ネコに関する連絡会議」通称:ネコ連。環境省小笠原自然保護管事務所、林野庁関東森林管理局小笠原諸島森林生態系保全センター、東京都小笠原支庁、小笠原村、小笠原村教育委員会、NPO法人小笠原自然文化研究所の島内機関で構成され、世界自然遺産における外来種対策のひとつであるノネコ対策を担っています。山域からのノネコの排除と飼い猫の適正飼養の実現に向けて、それぞれの関係機関ができることを担う『持ちより』によって運営されています。本日、平成24年度最初の会議が開かれ、各々担当における今年度の実施計画を報告し、また新たに始まる母島石門域での試験捕獲についても相談が行われました。

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ねこまち開所からまもなく2年。南の島の強い日射しと海風にさらされ、ウッドデッキがだいぶ色褪せてきました。
父島ではこの2年間で捕獲が進み、難捕獲期に入ったここ数ヶ月はセンサーカメラにはネコが写っているものの捕れない状態が続いています。母島では3月の北進線の長期間の工事による通行止めが影響して、今月のねこまちの稼働は4日に留まっています。作業には臭いや音が伴うため、ネコがいない日を利用して少しずつ作業を進めています。

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3月に入り小笠原には大変多くの観光客の皆さんが来島しています。定期船おがさわら丸の乗船客数は毎便700〜800名、これにクルーズ船9艘が順次寄港しており、島は大変賑わっています。湾岸道路沿いにある「ねこ待合所」にも散策途中に立ち寄ってくださる方が増えており、掲示板に設置した手作りのパンフレットを補充する機会が増えています。
「ねこ待合所」は森・山ツアーの帰りに車中からの見学に利用されることが多いのですが、なかにはその後に訪ねてくれる方もあります。世界自然遺産登録後、マスコミを通じてこの取り組みを知った方も多いと思いますが、「あぁ〜此処、ネコが山に行かないように餌付けしてからまた放すところでしょ…」「ここでネコの飼い主を探しているんでしょ…」そんな声も聞かれ、広報がまだまだ不十分であることを実感します。「ねこ待合所」を訪ねてくださった方は、西側掲示板もじっくりご覧ください。事業紹介とともにネコを引き受けていただいた都内の動物病院も紹介しています。

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ちょうど2年前の今ごろ中古のプレハブが届き、好きなように内装と外壁デザイン、備品を揃えるようにと依頼されました。専門外の仕事に戸惑いつつも、ネコの一時飼養施設として誰にでも分かりやすく、暖かい雰囲気で、島の人の手作りにもこだわって作ることを心がけました。飼養室内部のカーテンもそのひとつで、2010年冬、ネコ捕獲隊の一員でもあった染色家【Nesia】に「アカガシラカラスバトの暮らす小笠原の森をイメージして…」とリクエストを出し作製してもらいました。
ヘリオグラフィーと呼ばれる手法〔太陽の光をあてることによって布地の上に置いたものの影を焼き付ける手法。Nesiaでは染色した布地の上に島の植物を置いて、植物そのものの影を布地に焼き付けている〕で染められた布をカーテンとして使用しています。

【Nesia】 http://nesia-bonin-island.com/

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山域で捕獲されたネコの東京への搬送は、小笠原海運株式会社が無償で協力してくれています。
小笠原には動物病院がないため「ねこまち」での滞在をできるだけ短期間にし、ネコが元気な状態で東京の動物病院へ搬送することを任務として活動しています。おがさわら丸が定期点検に入り2月4日まで東京便がなくなるため、今日父島を出港する船には、年末年始に捕獲されたネコ5頭の搬送をお願いしました。ペットルームのケージひとつを借りて、時化る海での船の揺れにも対応できるよう滑り止めマットや搬送用キャリー同士を連結するバンドを使用しています。搬送の同乗には、東京都小笠原支庁やネコ連絡会議の出張スタッフがあたっています。年間を通じての搬送にご理解とご協力いただく小笠原海運株式会社のみなさま、同乗するペット飼い主のみなさま、ありがとうございます。