ノネコ引っ越し作戦の始まりの日

― 小笠原ネコプロジェクトは20年の節目を迎えました。20年前ノネコの引っ越しシステムを作っていただいた、当時東京都獣医師会副会長で新ゆりがおか動物病院の院長である小松泰史先生よりお言葉をいただきました ―
2005年6月16日に母島南崎でマイケルが捕獲されて20年の時が過ぎました。マイケルは11年後の2016年7月29日、推定年齢15才で生涯を終えました。マイケルは2005年6月27日に3匹のノネコと一緒に当院に到着しました。捕獲されたノネコは当初マイケル1匹と聞いていたところ、直前になってさらに3匹が捕まったと(NPO)小笠原自然文化研究所の鈴木創さんや佐々木哲朗さんから連絡があり、マイケルを含め計4匹が理事長の堀越和夫さんに連れられて当院にやってきました。追加の3匹は、世田谷区の小出充先生(小出動物診療所)と廣嶋実先生(広島動物病院)、福生市の野村治先生(牛浜ペットクリニック)に連絡したところ、快く引き受けていただくことができました。翌日には各院長がわざわざ当院に迎えに来てくださいました。この時の先生方への感謝の気持ちは今でも思い返すと胸が熱くなりますが、この日が私にとってのノネコ引っ越し作戦の始まりの日だったと思っています。あの日から20年を経て、アカガシラカラスバトは順調に個体数を回復、一時壊滅の恐れがあったカツオドリの営巣地でも、巣立ちが確認されています。しかし母島では固有種のオガサワラカワラヒワ絶滅の危惧が指摘されています。今後もノネコの捕獲・島外搬出に関係する機関、各位の地道な取り組みが継続され、小笠原諸島に生息する希少野生鳥獣と自然環境が守られることを期待します。