最新情報

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二見港に停泊中のぱしふぃっくびーなす

先月28日、観光船ぱしふぃっくびーなすで来島したご夫妻が「ねこまち」を訪ねてきました。奥様が東京都動物愛護推進員として居住地の地域ネコ活動を積極的に行っており、3年前には環境省小笠原自然保護官事務所を通じて「マイケルの大引っ越し」絵本を取り寄せ、昨年も普及啓発活動に活用していただいたようです。活動を通じて、小笠原ネコの飼い主さんとも知り合いになり、以後小笠原のネコ対策に強い関心を持っていたようで、クルーズにキャンセルが出て急遽小笠原行きが決まった時点で「是非、ねこまちに行ってみたい!」と連絡がありました。このクルーズの父島滞在はわずか1日。観光のシーズンであるホエールウォチング等他の予定は一切入れず、来島目的は「ねこまち」のみ…と下船後まもなく訪ねてきてくれました。都内での地域ネコ活動の様子を伺いながら、ねこまちでのネコの管理や東京搬送、小笠原の集落ネコ対策について1時間ほど話をしました。
旅行を終えて自宅に戻られたと今日メールが届きましたが、「ねこまち訪問は、大変刺激的でした!」と書かれていました。小笠原の集落ネコ対策のなかに共通点やヒントがいくつかあったようです。そして今回の小笠原クルーズは、奥様の地域ネコ活動のよき理解者であるご主人からの春休みのプレゼントだったようです…。

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結婚を祝って用意したケーキ

年度末の今日でネコ捕獲隊を卒業する島っ子隊員の送別会が行われました。島で生まれ育った若者が、島の自然再生事業に従事することは大きな意味がありますが、また新しい夢を見つけたようです。別れを惜しみ、隊員たちは連日一緒に過ごしているようですが、今夜は隊長主催でした。送別会だけでなく、2月下旬から捕獲隊に加わった新メンバーの歓迎と、2010年から捕獲隊として活躍するメンバーが昨年末入籍したお祝いも兼ねて、賑やかに行われました。

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父島山中のノネコの生息は低密度状態を維持し、残り数頭となったネコの捕獲に苦労しています。ノネコの生息状況の確認は、80台を超えるセンサーカメラを使用していて、毎月月末に撮影データを回収し解析作業を行っています。この他に捕獲用のカゴ罠に撮影スポットを当て、仕掛けた餌に対する反応や他の小動物の動きを確認するためのセンサーカメラをいくつか仕掛け、適宜データをチェックしながら捕獲作業にあたっています。被毛に白い毛が混じって個体識別が可能なネコはもちろん、数頭レベルに追い込んだステージになると黒ネコでも尻尾の太さや長さ、出現エリアからおよその個体を判断することができ、その動きを追います。この冬は人の想像を超える距離の移動がわずか1日で確認されたこともありました。
今月も2日間かけてカメラデータの回収を行いましたが、その写真の中に、母ネコの後ろを追いかける小さな黒ネコ3匹のかわいらしい姿がありました。今年度1年間で捕獲できたノネコは5匹…。想定内の事象とはいえ、この写真を見つけた隊員たちは、しばらく意気消沈…したようです。この子ネコたちが繁殖に参加できる大きさになる前に捕獲できることを期待します。

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昼前、自転車で島内観光をしていた5人の学生がねこまちを訪ねてくれました。飼養室で作業をしていると「マイケルの絵本は置いてないのかなぁ…」という話声が聞こえたため、外に出て案内しました。山のツアーでノネコ捕獲事業の説明を受け、関心を持ったので…と立ち寄ってくれたようです。マイケル絵本を朗読し、私の説明にも耳を傾けてくれました。帰り際「4月からは就職ですか?」と聞いてみると「そうなんですよ…もう島に学生気分、全部置いていきます…」とちょっぴり寂しそうに話してくれました。小笠原でたくさんの思い出ができたでしょうか…。
また、お会いすることはできませんでしたが、マイケル絵本の郵送を希望された方の中に、こんなメッセージがありました。
・4月から獣医師になる身として、とても興味深く、自分もこのような活動に携わることができるように成長したいと思いました。島もネコも救う取り組みをこれからも続けていってほしいです。
・僕は獣医学生で、この取り組みにとても興味を持っています。大変だと思いますが、頑張って下さい。
この春もたくさんの学生が、ねこまちを訪れてくれています。

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2月22日は「猫と一緒に暮らせる幸せに感謝し、猫とともにこの喜びをかみしめる記念日を」という趣旨で1987年に制定された日本における猫の日です。「にゃん」「にゃん」「にゃん」の語呂合わせにちなんで決められたようです。
ねこ待合所のミッションは、【山で捕獲されたネコたちを安全に、そしてできるだけ元気な状態で東京の動物病院に届けること】です。捕獲された多くのネコが、はじめて出会う人間と環境に大変な恐怖を感じていますが、ストレスを最小限に抑えながら少しでも人に慣れてくれるように優しく接するよう心がけています。
ねこまちにやってきたネコは、最初に捕獲カゴの下から覗き込んでお尻を見て性別を確認します。飼養ケージに移すと、しばらくは奥で座り込み、じっーとこちらを警戒視して過ごしています。ケージの前に立つと、“シャー!シャー!”と激しく威嚇したり、ビビって立ち上がったり、固まって動かなくなってしまうネコもいます。サイズの小さなネコは、すぐからエサを食べることもありますが、野生味の強いネコは2-3日エサを口にしないこともあります。最初の変化は、給餌後すぐにエサを食べるようになることで現れます。警戒と食欲のバランスが逆転するようです。そのうち食後に毛づくろいするようになったり、前に出てきて室内の様子を眺めるようになってきます。“ごはんをくれる人”の認識ができるようになると、少しずつ威嚇が減って、そのうち肢を伸ばして横になったり、ねこじゃらしに反応するようになってきます。こういった変化は、3日・5日・1週間・10日・2週間というタイミングでみられ、ネコたちは、ねこまちで過ごす数日から数週間の間に、少しずつ警戒心を解き、人を受け入れてくれるようになっていきます。個体によっては、ほとんど警戒を緩めないネコや、反対に撫でることができるようになるネコもいて、性格や反応は千差万別。その変化を楽しみながら、体調を維持し、受け入れ先が決まったネコから東京に送り出しています。