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保護されたクロコシジロウミツバメ

11月29日、私が乗った父島発の「おがさわら丸」に1羽の海鳥が迷い込みました。日が暮れてまもなくで、まだまだ小笠原から200kmも離れていないあたり、デッキで乗客が見つけ案内所に保護されていたその海鳥は、なんとクロコシジロウミツバメでした。岩手県日出島、三貫島で繁殖し、小笠原海域では大変珍しい鳥です。大型台風の接近前ですでにけっこう時化ていたので、翌朝になってから三宅島沖で放鳥しました。

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体には白い毛が目立つ

一日様子を見たが、元気で問題はなさそうである。いつもの捕獲調査時の一連の作業(外部形態計測、内部識別標識挿入、DNAサンプル採取、などなど)を行う。驚くほど白色の体毛が多く、翼を除く体色が白く見える。これが、以前から欧米系島民・旧島民がいう「白いオオコウモリ」なのだろう。体サイズ、歯の摩耗度から考えても、この個体はかなりの年寄りである(雌なので大おばあ)。夕方捕獲した場所の近くで放獣する。飼育中に気づいていたのだが、噛む力はかなり強い個体なのだが、随分腕力がない点(例えば箱やゲージから出すとき、様々なところにツメを引っかけ引っ張るので、出すのは困難なのが普通だが、この個体は比較的楽だった)は、樹木に登らせてみると明らかで、とてもヨボヨボしていた。この状態ならば木から落ちたり、電線にぶつかって落ちるなと思われた。

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道路にぶら下がっているところ(わかるかな?)

久しぶりの休日、一本の電話。「オオコウモリが道路にいる!」
現場にいくと、道路にぶら下がる?オオコウモリ発見。以下の点により、緊急保護を行う。
・車通りが頻繁で、交通事故の危険がある。
・近くの民家で放し飼いにされている飼い猫、およびノネコによる捕食の危険がある。
・本日の天候は悪く、雨が降るとこの個体の逃げ場がない(近くに飛び立つために必要な樹木などが全くない)。
・外傷は見られないが、吻部より出血が少し見られ、内部損傷がある可能性がある。
と言うわけで、いつもの捕獲作業で使用する箱にいれて研究所に持ち帰り、1日様子を見ることにした。給水と給餌(バナナ、ミカン)を行うと、よく食べるので心配はなさそう。

 しばらくお休みしてすいません。小笠原でもいよいよ夏が終わり、海にはいるにも肌寒くなり、日射しにも秋の気配がかんじられるようになりました。さて、10月に入ってから、いくつかの鳥が相次いで当研究所に運び込まれました。中でも多かったのはアナドリ。一回り小さく感じられるほど、痩せて、海水がしみるほど羽にも油のない数羽は、おそらく巣立ち直後の鳥だと思われます。長生きする種類が多いといわれる海鳥類ですが、巣立ち後しばらくの間は、もっとも危険の高い時期です。

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保護されたオナガミズナギドリ

この期間、オナガミズナギドリも保護されました。アナドリと異なり成鳥です。アナドリが巣立ちを迎えるこの時期、今年生まれのオナガミズナギドリ達はまだ穴の中にいます。そろそろ親鳥の姿は見られなくなる頃なので、もしかしたら季節がわりの海上で南下する大集団に会えるかもしれません。例年ですと。11月下旬頃に巣立ちヒナと思われる不時着が集中します。以前もお話ししましたが、外傷等はなくとも、放置すると父島や母島では、車かネコにやられてしまうため、一時的に保護してあげることが必要です。