2008年

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巣立ち時期には、一晩にこれだけ落ちてくる時もある

小笠原諸島返還40周年事業のひとつ。描こう母島未来地図に呼んで頂き、2005年から南崎で母島の方々と取り組んでいる南崎の海鳥繁殖地のことや、オナガミズナギドリの巣立ちのお話、また、巣立った幼鳥が、街の灯りに呼ばれて不時着するケースが多いことなどを説明しました。小笠原では すぐ隣にある自然ですが(というか、鳥瞰図として見れば、まさしく大自然の中に私たちも住んでいるのですが・・・)、以外に気がつかないことも多いものです。夜活動する生き物のことは、特に。人工照明で不時着をまねき、それが衝突や、交通事故、ネコに襲われることにつながっているのならば・・・・「電気を減らせば いいのでは!」と骨太な声が上がりました。さすがにウミガメの島(稚亀の時期には局所的なライトダウンの取り組みがあります)。小さな小さな小笠原。共生には「くふう」が必要です。「くふう」につながる第一歩、そう感じた「母島未来地図」でした。

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写真は母島、朝の放鳥風景.
11月30日から12月3日まで母島滞在しており、
母島の保護放鳥をお手伝い.水面を蹴る姿が美しかったです.

2008年12月2日
小笠原は、今年もオナガミズナギドリの巣立ちの時期をむかえました.11月中旬からボチボチとはじまった巣立ち.11月30日から一気にピークを迎えたようです.例年11月後半の連休から12月10日くらいの間で、典型的な冬型の嵐を迎えたその夜から数日間に、爆発的な巣立ちを迎えます.何度もお伝えしているとおり、ミズナギドリは光に集まる習性があり、不時着が相次ぎます.無人島では風を待つか、エッチラオッチラ頑張って海まで歩ければ、無事に自力脱出が可能です.しかし、父島や母島などの有人島では、羽ばたけば地面についてしまう長い翼がじゃまになり、朝までにネコか車と出会うことが必死です.
とにかく 夜に見つけたら ダンボールに回収して海から放鳥します.

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長くおやすみしてしまいました.担当の東京出張が多く,島の情報発信が遅れて申し訳ありません.そんな中で,今日は少し変わったご報告です.先日,東京より戻る船でコアホドリを放鳥しました.このコアホウドリは、2008年11月13日に,横浜市磯子区の路上で発見され、同市内の野毛山動物園に保護収容されておりました.経過も順調で,内陸への迷い込みの再発を防止するために,沖合航路上からの放鳥が計画され,私が父島へ戻る おがさわら丸 での実行されました.この日は,すばらしい晴天&凪でした.竹芝桟橋で,動物園の方から大きなダンボールを預かった後に,伊豆大島の沖合で無事放鳥しました.船の最上部デッキから,フワッと飛び出たコアホウドリは,落下しながら大きな翼を拡げ,海面上の空気を上手につかまえて、水面上を西へ向ました.現在,日本におけるコアホウドリの繁殖地は,小笠原諸島の聟島列島のみです.ここで,わずかに約20ペアが繁殖しています.冬から春にかけて,神奈川から北海道にいたる太平洋沿岸では,コアホウドリがたびたび観察され,実際保護事例も見受けられます.しかし,過去10年ほどのコアホウドリの保護事例からは,小笠原生まれと思われる個体(標識で判断)は見つかっていません.現在小笠原では,巣立ち鳥に足環標識がつけられています.今回,若鳥と判断されたこのコアホウも,小笠原産であるならば足にはリングが見つかるはずなのです.
さあ、そんなわけで、今回の鳥は,毎年太平洋沿岸に出現する出所不明(ハワイ諸島からの遠征軍と想像されますが)の群れからの迷鳥であろうと判断し,小笠原海域ではなく,伊豆諸島海域で放鳥したわけです.

放鳥にかかわった機関:横浜市立野毛山動物園、磯子警察署、小笠原海運〓、小笠原自然文化研究所12Thanks ChikiChiki, Deguchi-san, Yousuke, ARI-chan, Mari-san, Mikami-kun, SUGI-chan, Kotarou, Yui-chan1212

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父島で保護されたセグロミズナギドリを放鳥しました。属島へ調査に行く途中、東島手前の沖で海面に放鳥しました。すると、この鳥は大変に珍しい場面を見せてくれました。海水を飲み、胸を海面に叩きつけて、羽づくろいをする。それを繰り返す。ここまでは、海鳥の放鳥でときおり目にする光景です。しかし、この鳥は、目の前で何度も潜水を見せてくれたのです。

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今年は、小笠原諸島返還40周年です。小笠原自然文化研究所で何かをやっているわけではありませんが、とても沢山のイベントが目白押しです。昨日の盆踊り会場でメジロの巣立ち雛が届けられました。ちょっと早くに巣から落ちてしまったようです。お祭り会場の設営時に、驚いたのかもしれません。7月後半より、メジロ、オガサワラヒヨドリ、トラツグミなどの巣立ち雛の保護や、人工物への激突事例がずいぶん増えています。たしかに例年、この時期には巣立ち個体が散見されるのですが、今年は随分と目につく印象があります。驚いたことろでは、この目につく地上を徘徊している中に、ハシナガウグイスもいたことです。こんな姿を見るのは私はじめてでした。島でよく自然を観察している方からも、何度か声をかけられました。何かの要因で、この春には、沢山の子育てが行われる条件が整っていたのかもしれません。多産のあとの餌不足、そんな気がしないでもない、今年の夏です。


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