2023年6月

保護したアカオネッタイチョウの放鳥のタイミングに、4年ぶりに開催されるおがさわら丸による硫黄3島クルーズがありました。私も船上解説員として乗船予定がありました。保護鳥が硫黄列島産の鳥で、低気圧に誤って巻き込まれた若鳥と思われること、保護の状況から感染症の持ち込み等のリスクも小さい等から、この幸運にかけることになりました。主治医、関係機関とも相談の上、クルーズ中の放鳥を(株)小笠原海運に打診。快諾頂きました。

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父島に入港した貨物船の共勝丸から「見慣れない白い鳥がうずくまっている」と連絡がありました。強烈な西陽の当たる上部甲板の角に、ごま塩模様のアカオネッタイチョウの若鳥が!! 北硫黄、南硫黄、南鳥島のみで繁殖する小笠原でもレアな海鳥です。白い身体に赤くて長い尾が目立つ成鳥は、年に数回、父島〜母島間でも見かけることがありますが、ごま塩模様の若鳥は稀です。6月前半の太平洋では、台風やら発達した低気圧が行きすぎました。小笠原諸島でも直前の20日前後に、強風、強雨が吹き荒れており、この時の気流に巻き込まれて、父島周辺まで吹き飛ばされてしまった可能性が考えられます。海で暮らす海鳥が、船や陸地を求めるのは余程のピンチ。この若鳥も、羽毛はバサバサで、ふくらみ気味で、傾眠傾向があり、体温低下と脱水があり、保護後は、安静と保温、栄養補給に入りました。小笠原動物対処室での診察を経て、骨折等の大きな怪我がないことも確認。一週間のケアで体調は確実に上向きとなり、餌量も増えました。6月28日からは撥水回復を促し、週末には野生復帰が見えてきました。

東京港野鳥公園ネイチャーセンターで、6月15日(木)〜7月2日(日) に写真資料・ポスター展示があります。写真、絵、造形物など、盛りだくさんな海鳥展示に触れてください。また、 エクスカーション「コアジサシ観察ツアー」や、対面&オンライン講演会も開催されます。ご興味のある方は、ぜひ足をお運びくださいませ。

https://albatrossday.org/events/

なお、今年は日本の絶滅危惧海鳥類について作成したリーフレットも配布しています。

当研究所の職員も写真提供や、テキスト記述で参加しています。

https://albatrossday.org/seabirds/