2025年5月

クチバシに釣り針が貫通(おそらく餌ごと食べたのでしょう)、はずそうともがいたのでしょう。釣り針から出るテグスを、脚にグルグルに絡ませて、クチバシと片脚がくっついたまま動けなくなったキョウジョシギが保護されました。小型ニッパ、大型ニッパ、ラジオペンチなどを慎重に駆使して、なんとか、外しました。クチバシの出血はあるものの、脚指等に大きな負傷はなかったことと、テグスの拘束時間が短かったこと、これに、野生動物の創傷への強さにかけて、放鳥しました。Thanks 父島分遣隊

おそらく、激ヤセ+強度脱水状態で、金属ネットに衝突して飛べなくなっていた、と思われるクロポッポ。数日間の保護と、強制給餌によって回復し、すみやかに放鳥しました。一時国内でもっとも絶滅に近い鳥(超絶滅危惧種)と呼ばれていた彼らは、いまようやく普通の絶滅危惧種になったと言われるまで回復しましたが、さまざまな要因で死亡率が高いと思われる状況が続いています。特に若鳥の鬼門となっている春を乗り切って欲しいものです。

4月後半からGWにかけて、父島では、連日のようにシロハラミズナギドリの不時着が続いています。例年、シロハラミズナギドリの不時着は、ほとんどが春です。10羽を超える年もありますが、今シーズンもすでに、これまで計9羽(1羽のみ3月末)。うち3羽は死亡しています。いずれも集落地の保護・回収で、約半数が奧村です。カメ陽気とも呼ばれるガスが島にかかる季節。街の灯りが夜空に反射しやすく、オナガミズナギドリの巣立ち時期の11〜12月についで、海鳥の不時着が多い時期、特に、これからは梅雨に向かい、リスクはあがります。この時期、小笠原のみなさまは、日暮れ後は、出来る限りカーテンなどで遮光して頂けると嬉しいです〜。

父島でコウモリの電線事故がありました。たまたま被覆劣化等のあった箇所で、感電した可能性が考えられます。近年、父島ではコウモリの感電事故がほぼ毎年発生しており、かつ増加傾向にあります。危険箇所を身をもって教えてくれた結果、とも言える彼らの事故を無駄にしないように、ライフラインの安全管理をが進むことを願います。コウモリも3月末から3頭目の死亡、GW中だけで2頭目です(死因は別)。ハトと同じく、回復と同時に、さまざまな事故死が多発しています。