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はたして,南硫黄から飛んできたのだろうか?

GWの小笠原です.飛び石のせいでしょうか.ちょっとお客さんが少ないようで寂しいかんじです.空模様もいまいちで,4月後半から山の稜線はガスがかかることが多く,はやくも梅雨入りしてしまったかのような天気が続いています.そんな中で,今日はクロウミツバメの保護がありました.この鳥は,海鳥では珍しい小笠原固有種です.近年,繁殖が確認されているのは南硫黄島のみ.昨年,四半世紀ぶりに実施された調査で, 文字通り25年ぶりの繁殖が確認されました.調査は6月後半で繁殖後期と思われたので,今は彼の地で抱卵中の鳥が沢山いるのではないかと思います.実は4月後半より,ミズナギ類の不時着が続き,中には電線衝突で翼を骨折し死亡したものいました.このクロウミツバメは大きな怪我なしで一安心です.

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♀若鳥と思われる

チョウゲンボウが保護されました.見つけたのは子供達.いつも彼らの観察眼,発見力には驚きます.この鳥は収容時に激やせ状態ですでに昏睡状態にありました.一時的に意識回復し、自立するまでに持ち直したものの体重の低下が止まらず残念ながら死亡しました.さて,近年小笠原に分布している猛禽類ではオガサワラノスリ1種となっています.(戦前に記録があり,近年観察例のないシマハヤブサを除けば) しかし,定着はしていませんが,実にはさまざまな猛禽類が小笠原にも訪れています.チョウゲンボウはその代表選手で見かけても驚かないくらい頻繁に観察される猛禽類です.ほかにもミサゴ,コミミズクといった鳥が見られます.また,なんと北の猛禽類・オジロワシも,ここ数年,聟島列島では冬の定番になっています.

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父島で まどろむ2羽.(ピンボケ失礼)

レース鳩その後・・・
今日,レース鳩のオーナーから無事到着の連絡を頂きました.少なくとも今回のレース鳩の1羽は,22日に青森県野辺地で放鳥されたことがわかりました.父島での保護が24日.前日からすでに父島内で噂があったことを考えると,最短の場合,23日つまり放鳥翌日には小笠原まで到達していた可能性があります.このタイミングでは,父島に向かうおがさわら丸は走っていませんでした.どうも今回はまさに完全自力で飛んできた可能性大です.オーナーもびっくりの大飛行ですが,レーススタート時には前日までの低気圧の風が残っていたそうです.通常のレースでは,だいたい平均時速にして80kmほどで飛ぶそうですが(これでもビックリ!),風に乗ったりするとさらにスピードがあがることがあるそうです.で,今回ですが,他の鳩たちは時速120kmという速さで埼玉県の鳩舎に帰りついたそうです.いったい小笠原に到着したハトくんは,時速何キロで飛んでいたのでしょうか!??
ともかく2羽とも無事だったそうで,よかったよかった.関係者のみなさま改めてご苦労さまでした.

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夕暮れの海に飛び出した.

オナガミズナギドリ.今年度2羽目.父島扇浦での保護でした.なかなかかわいらしい海鳥ですが,このオナガミズナギドリは,野生動物救護関連のお仕事をされている方の間では有名な強者です.ひっかく,かみつく,あばれる,とにかく元気です.人によっては日本産のすべてのミズナギドリの中で,一番の暴れん坊&一番噛まれると痛い! となります.なんとか上手に扱って,噛まれることもなく無事に放鳥となりました.浜辺から水面を蹴りつつ飛び上がりながら,ミャウミャウともフニャフニャともつかない鳴き声を上げたのには笑ってしまいました.

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オナガが褐色系の黒というのなら
セグロはまさにグレー系,黒色系の黒.

はやくも来ました.セグロミズナギドリです.
戦前は「オガサワラミズナギドリ」とも呼ばれながら,今では本当に姿を見ることが出来ない海鳥です(レッドデータブックでは情報不足種).昨年春に我々の調査で父島列島の東島で少数が繁殖していることがわかりました.実にこれが,小笠原諸島で70年ぶりの繁殖確認となりました.さらに,夏の南硫黄島調査(25年ぶり)でも繁殖が確認されました.将来に残したい大切な海鳥です.人工灯の誘引による不時着だと考えられますが,幸い大きな怪我もなく海に戻りました.

Thanks SUGANOsan