レスキュー

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「放鳥だ、さあ飛んで行け!」

メジロ兄弟と時をおなじくして、相次いで3羽のヒヨドリが運び込まれました(このうち1羽は以前このコーナーで写真で紹介)。今年は、メジロやヒヨドリなどで、梅雨の前後に2度のはっきりした繁殖が認められ、8月後半の今も、巣立ちヒナがあぶなっかしく飛ぶ姿を見たり、懸命な鳴き声を聞いたりします。当研究所に持ち込まれ、手続きをとって放鳥を目標に保護を開始した3羽のヒヨドリも、誤保護1(過去ログ「巣立ちヒナを見つけたら、どうする?」参照)、ネコに襲われているところ救助1、建物への激突1の内訳で、いすれも巣立ちヒナか、梅雨前に巣立ったと思われる若鳥でした。結果は、1羽が放鳥、1羽死亡、1羽行方不明(おそらくノラネコにより捕食)と厳しいものでした。今年はこれまでになくヒヨドリの巣立ちヒナを多く見るように思います。繁殖数、そして死亡するヒナの数も、もしかしたら多いのかもしれません。

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保護されたヒヨドリのヒナ

巣立ちヒナを見つけたら、どうする?
このヒヨドリのヒナは、巣から離れ道路に降りてしまい、通りがかった人に保護されました。現場は父島の主要道路でしたから、まだピョンピョン飛のヒナはそのままならば車にひかれて死んでいたでしょう。道路から拾い上げたことは、このヒナの命を救いました。けれど「親とはぐれたヒナ」と思われたために私たちのところに運ばれてきました(数日の保護の後、。私たちは、まず発見場所近くにヒナを戻し、遠くから双眼鏡で観察して親鳥が来るの待ちましたが、残念ながら親鳥は現れませんでした。ヒナが路上で拾われてから3日以上が過ぎていました。多くの鳥のヒナは成長すると、巣の外を出歩くようになります。満足に飛べず、好奇心いっぱいのこの時期は、命の危険が高いのですが、たいがいヒナの近くには親鳥がいて、エサを運んだり様子を見たりしているのです。では、たとえば、尾羽の伸びきらないヒナを道路上で見つけたらどうするか?!!
そんな時は、近くの木の枝など、安全なところにヒナを移して、素早くその場を離れてください。ヒナの安全のためにも、これが一番なのです。

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保護された当時のメジロのヒナ

8月に入りました。今、小笠原は陸鳥の巣立ち期を迎えています。今年は5〜6月にもメジロなどの巣立ちヒナが見られました。6月の梅雨を挟むように2度の繁殖があったのかもしれません。
今日の写真は先日母島の道路工事で親鳥が事故に巻き込まれたメジロのヒナです。保護時には、まだ羽毛はなく、頭、目、くちばしだけが大きい御覧のような姿でした。この2羽は当研究所で飼養依頼を受け2週間程度の父島リハビリ(足に不具合がありました)を行い、自然放鳥への目途がたった8月初旬に無事「ははじま丸」で母島に里帰りしました。現在ふるさとで最終野生復帰訓練中!?です。
◆道ばたなどに落ちている鳥の巣(使用済み)を見つけたら当研究所までご連絡下さい。レスキューに役立ちます!

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成長したメジロのヒナ

メジロのつづき。生まれたてのヒナは、毛もなくて「ホントにこれが鳥?」と言いたくなる姿ですが、やがて身体の羽毛や翼となる羽根が伸びてきて、数日で誰が見てもヒナに変身します。でも、メジロのトレードマークの「目の回りの白」が表れるのは最後の最後、尾羽が伸びて、すっかり鳥らしくなってからのこと。写真は前回に紹介したメジロで、すっかりメジロらしく成長し、上手に水浴びもした後の写真です。
この時期、メジロやヒヨドリなどの巣立ちヒナが、巣を離れあちこちを危なっかしく歩き回っています。しかし、かならずどこかに親鳥がいますから、こんな鳥を見つけても、そっとしておきましよう。もし、道路など危険がある場合は、近くの安全な木の枝などに留まらせて立ち去るとGOODです。
★現在、小笠原群島において繁殖している陸鳥は、ハハジマメグロ、オガサワラノスリ、アカガシラカラスバト、オガサワラカワラヒワ、オガサワラヒヨドリ、イソヒヨドリ、トラツグミ、モズ、ハシナガウグイス、イオウジマメジロの10種です。

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アナドリ

春から夏にかけて、父島、母島などで目にする海鳥で、前回ご紹介したオナガミズナギドリについで不時着等が多いのはアナドリです。アナドリはミズナギドリ目ミズナギドリ科の海鳥で、体長26-28cm、翼長68-73cm程度と小さな鳥です。文字通り陸上に穴を掘って営巣します。父島周辺では南島などで繁殖が確認されています。海上では優雅なグライダー飛行を見せるオナガミズナギドリと異なり、小刻みな身の軽さを感じさせる飛行術を見せてくれます。類似種としては、ほぼ同じ大きさで同じ色合いのオーストンウミツバメ(ウミツバメ類ウミツバメ科)がいます。くさび型のアナドリの尾と異なり、燕尾型に深く切れ込んだ尾が特徴で、飛翔時もより軽く、こちらはハラッ・ハラッとトリッキーな動きを見せてくれます。