ガーコ

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南島に行く船上で

水面への落下のごとく不格好でも、海の表面でエサを捕れるようになって4日目。昨日(7日)には、水中を覗く仕草も見られていた。今日は父島近くの南島へ別種類の海鳥の調査があったので、朝、はやくも青灯台で発見されたガーコを捕獲し、多くの同じステージのカツオドリがいる南島周辺海域へ船で強制的に連れて行った。これまでも、何度か二見湾の外へ飛び出していくガーコが目撃されたが、はたして南島沖まで飛んでいるのかどうか、わからなかった。いずれにしてもガーコが無事巣立つには、本格的な冬になる前に、今年生まれの若鳥に交じって南に飛び立つしかない。

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闖入者に興味津々の南島の若鳥達

南島沖に着くと、南島瀬戸にある一つの岩の上に、沢山の若鳥が降りていました。まるで若鳥学校の始業前とでもいった様子です。そこへ、船に乗ってカツオドリが登場したわけですが・・。最初はあたりをキョロキョロして興味津々だったのはガーコの方です。ところが、船が岩に近づくと形勢逆転。岩の上の若鳥達の視線が一斉にガーコに集まりました。目が点&釘付け、とでもいいましょうか、もう言葉(ガーガー)もなく、珍入者に見入っています。すると、今度はガーコの方が視線を外し、唐突に羽つくろいを始めました。大勢の人に見つめられてドギマギしている人間のようです。岩上の鳥にはどう写ったのでしょうか? ひたすらに凝視しているものもあれば、好奇心をおさえきれずに船の回りを低く飛び回るものもではじめました。中には、船に降りたそうにするものも。いっこうに飛び立とうとしないガーコのお尻をおした。

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ガーコ訓練(10/6撮影)

放鳥翌日の夕方。10月2日にあっさりと青灯台に戻っているガーコが発見されました。この日より、1日〜2日で戻ることを前提に、バケツやタライは卒業して海でのエサ獲り訓練を始めました。本当は、海辺にリハビリ用のスペースがあれば理想的です。しかし、残念ながら、今の小笠原にこのような施設や場所提供はありません。夕方からは、犬の散布、ネコ徘徊、そして交通事故と危険が沢山です。事実、当研究所に運び込まれる海鳥たちの多くは、無人島時代にはなかった、これらの人為的要因で負傷したもの達です。さて、今書き込みしている10月7日までの間、1日1回、数十分間のことですが、ほぼ毎日水中でのエサ獲り訓練は続いています。写真は、ようやく思い切って飛び込めるようになった昨日(6日)の連続写真で、つぎに10月2日からの訓練の様子をダイジェストで?ご紹介します。

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ガーコ訓練つづき(10/6撮影)

10月2日
初日の今日は宮之浜の浜辺で、波打ち際付近の水の中にあるムロアジ2匹。最初は騒ぐだけでしたが、最後には水に飛びいるように入り、魚をくわえるやいなや、あっという間に岸へ戻りました。
10月3日
青灯台の水中階段付近で、昨日よりやや深いところの魚に首を突っ込みつかむのに成功、でもまだまだ、数十?の浅瀬。そのままドタバタと海面を蹴って、再び飛んでいきました。その後、これまたあっさりと夕方に青灯台へ戻りました。

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ガーコ訓練つづき(10/6撮影)

10月5日
今日は、島の運動会。大人も子供も中学校の校庭に集まって町も、青灯台もガランとしてる。のんびりした雰囲気の中で、岸壁のガーコを盛んに水中へさそう。目は釘付けだが、なかなかこれない。
やっとのことで、2度のダイビング? というよりまだまだ落下・・・をして飛び去った。
10月6日
いつもガーコを見つけてくれる島っ子が、電話をくれる。「いたよ!」と。今日の登場は、思いの外早く14時ころだった。ダイビングの練習をする人を横目に、こちらも練習開始。ひたすら自分で魚を小さく投げては、それを派手に追いかけ捕まえる。そんな姿を繰り返していると、いままでにない思い切った飛び込み(大胆な落下?)で水中に落ちていくエサをくわえた。水に突っ込むことへの躊躇がだんだん薄れだしている。2匹目をゲットすると、湾の外へ向かって飛び去った。
10月7日
11時半に青灯台にいるガーコを発見。エサを欲しそうにするのを避けて海へ入る。海へ入り魚を放るやいなや、岸壁から飛び込みくわえて飛び立った。湾内を何度も旋回し、低空飛行になってこちらを伺う。魚を水中に放ると、はじめて飛行状態から海へ降りる。魚はとれなかったが、一瞬の出来事ではあるが水面にとどまり、頭を水に入れ、水中の魚を必死に探した。これも、はじめてのこと。時間はかかるけど、確実に日々成長しているし、青灯台などに滞在する時間も確実に短くなっていく。思えば11〜12月の小笠原の海は、こんな魚とりの下手な当年生まれのカツオドリでいっぱいだ。手間はかかるが、間に合わせたい。