最新情報

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翼を負傷したセグロミズナギドリ

2月9日、奥村グランド近くに、ミズナギドリがいる との連絡で駆けつけると、それは希少種のセグロミズナギドリでした。右翼から血を流しており、翼の付け根部分が、鋭い裂傷下で開放骨折しており、右翼は皮一枚でつながっている状況でした。あらぬ方向を向く翼は歩行のじゃまになる上に、痛いのでしょう、さかんに自分で患部に噛みついてパニック状態になっていました。皮1枚の翼を切り取り、安静にして数日を過ごしましたが残念ながら死亡しました。翼の負傷は、傷や骨折の状況から、電線への衝突した可能性が高いと判断されました。
人工構造物(建造物、電線、照明)に激突死亡・負傷する海鳥は多く、その中にはこのセグロミズナギドリのように絶滅危惧種も含まれています。

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針が刺さった箇所とはずしたルアー

2月3日父島二見湾内で、動けないオオセグロカモメ(若鳥)が保護されました。このオオセグロは中型のルアーに絡まっており、左右の翼を含む計5カ所に針が貫通し、全く羽ばたけない状態でした。針先の「かえし」をペンチで落としてルアーを外しましたが深い傷を負いました。数日後に放鳥するも、再び保護され、後日衰弱し死亡しました。自ら、釣り人の餌(ルアー)に突っ込んだものと思われますが、引っかかった直後に連絡があれば、また違った展開になったかもしれません。釣り針に海鳥などが絡まった場合に糸を切ってしまうと、さらに二次的に絡まって死亡する可能性が高くなります。小笠原近海で同様な行動が考えられるものとして、カツオドリや稀に姿を見せるオオグンカンドリなど希少な鳥もいます。どうぞ、糸を切らすにご連絡を!

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保護されたシロハラミズナギドリ

今日は、ものすごい大嵐。ははじま丸は欠航し、二見湾内で沖留めしています。いつも青い湾内は緑白色に濁り、大波が押し寄せています。湾の外は6m以上の波。まさに台風なみ。悪天候の影響もあるのでしょう、シロハラミズナギドリが父島で保護されました。昨日、母島で保護されたばかりでもあり、おもに冬期に見られるこの鳥の、小笠原群島近海への飛来が始まった証拠でしょう。いつもはシロハラミズナギやセグロミズナギが保護されると、とても小さく感じるのですが(オナガミズナギに比べて)、ここのところPuffinus assimilisを見慣れていたので、いつになく大きく感じました。発見は、大きいシロハラのほうが足が細いこと、大きさに対してシロハラのほうが体重がない(小さいassimilisのほうがつまっている(丸まる体形)であることなどでした。

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VIPの貫禄?顔アップ

この1月、2月、小笠原は猛烈な時化に断続的に見回れています。先日、海鳥の調査で聟島列島に行った際には、通常3時間の行程を4時間50分かけて帰ってきました。漁船は大揺れを取り越した、キリモミ?、そこまでなると、酔う余裕もない状況となります。そんな大波と空が交互にジェットコースターのように見えるだけの海の上にも、颯爽とクロアシアホウドリが飛んでおりました。海鳥はすごい。漁師もすごい。さて、前回ご紹介した小型ミズナギドリは、未だ種が特定出来ない状況ですが、Puffinus assimilis(和名ヒメミズナギドリ)である可能性がもっとも高そうです。(コセグロは少し古い時代の同学名に宛てられた旧和名でした) ヒメミズナギドリであれば日本では平岡、千葉(1997)以来の2例目となる報告になります。VIPとして、さまざまな詳細な計測を終えましたが、脚力、翼力の低下が見られるため、現在リハビリ中です。青い足、目の上までの白さ、寝るときに足を羽毛の中にしまい込むなど、これまで見てきた小笠原で生息するミズナギドリとは、まるで異なる特徴が沢山ありました。

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保護された小型ミズナギドリ(種不明)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
思えばこのコーナー、毎年お正月には遠路はるばる珍客が訪れてくれています。一昨年はナベヅル、昨年はコハクチョウと、思いがけない鳥たちが話題をさらっていました。
さて、今年こそ、ふつうの年始になりそうだと思った矢先。3日に父島の自動車整備工場の方から「海鳥保護」の連絡がありました。これが、なんと、Puffinus assimilis Little Shearwater(和名コセグロミズナギドリ)である可能性の高い小さな大珍客でした。現在、生息分布地域の研究者に問い合わせ中です。追って詳細はお知らせいたします。