最新情報

Picture

安住の地はいずこ?

曇り、雨、風。小笠原のお正月は結局ずっと悪天候続きでした。ナベヅルはそんな天気の中を今日も飛んでいました。M農園の2アノールと、ひさびさのミミズ15をガツガツと平らげて穀物も啄んでいました。少し、飢えている「かんじ」がします。また、給餌の最中でも、数台の車やある程度まとまった人影が見えると、とたんに落ち着かなくなり、飛んで、降りてを繰り返していました。どうやら前のように長時間、洲崎に戻ることはなさそうです。かといって今飛び歩いている町場の周辺にも安心はしていないようです。

Picture

上空を飛ぶナベヅル

晴れ&曇り、雲多く時おり雨パラつく。一日中北よりの強風。
ナベヅルはとにかく飛んでいました。洲崎、旭山、大神山、三日月山などの上空をひたすら飛んでいました。今日はお正月で島の凧揚げがあって、午前中は小笠原と縁の深い八丈島ゆかりの為朝凧(今では絵柄はそれぞれ)が空高く揚っていました。250mの糸を出し切っている凧もあったので(斜めだけど)、それからするとナベヅルの高度は、ゆうに500〜600mは越えていたと思います。ナベヅルは父島の北側上空を飛ぶばかりでなく、時折、兄島の見返り山までも達していました。何度か、上空の制空権を巡って、父島や兄島のオガサワラノスリがスクランブル発進するのが見られました。
観察中、ナベヅルが町のはずれに降りました。遠くから、ウインドブレーカー(11月から観察中は同じ上着)を見つけ、ゆっくり歩いて寄ってくると、ひさびさの10アノールと穀物をあっという間に平らげ、まだ足りないとヨダレだらだらのまま、しばらくたたずんでいました。無反応のままでいるとやがて歩き出して、草の根をほじったり、(おそらく)虫を捕まえたりしていました。
しかし、時折くる複数の車や集団の人には遠くから反応し、その都度飛び上ってしまうのでした。そして、ひたすら上空を飛び続け、人や車が去るとまた降りてくるということを観察中ずっと繰り返しました。年末年始の洲崎で車やバイクに追い立てられたり、あるいは実際に身の危険を感じることがあったのかもしれません。安心できる場所が決まるまで、しばらくの間、特にそっとしておく必要があります。明日の船が出ると島には静けさが戻ります。町の近くには、犬やネコも多いので人が去って静かになれば、洲崎もこの点では安全なのですが。

Picture

ナベヅルのかわり?今日のチュウサギ

天気晴れ。しかし一日中強風止まず。湾内に風波が立つ状態。今日はちょっとドキドキでした。午前中、洲崎、扇浦、西町など見回るも発見できず。どこいったかなーと思っていた夕方、洲崎でツルの死体を見たという連絡が入りました。しかも複数情報。場所はナベヅルがよく歩いていた道の脇らしい。あわてて軽トラを飛ばしました。途中「昨日あれだけ飛んでいたのに・・・おかしい、やっぱり観光客との交通事故か?」、「もしまだ生きていたら、早速介護開始だ・・・」「でもあのサイズのゲージはない、どうする」「また例によって官庁は休みだ・・」など、いろんなことが頭をよぎり・・・そんなことしてるうちに洲崎へ到着。ツルの出現場所より少し先の道脇の草むらに倒れている大きな水鳥。羽の色はそっくりながら、それは「アオサギ」の死体でした。栄養失調で行き倒れたのでしょう。私たちの研究所が把握しているだけで、この秋から冬3例目のアオサギの行き倒れでした。
年末から洲崎でも観光バイク等の交通量は増え、周知版など出したものの、ツルが戻れば、いつ出会い頭の事故が起きてもおかしくない日が続いています。
=====小笠原お家事情1=====
大自然の島、固有種の島として「有名」な小笠原.ここに生きる多くの野生生物が天然記念物や絶滅危惧種などになっています。しかし、交通事故や衰弱などで保護が必要となった場合に、動物を収容する施設は小笠原にはまったくありません。さしあたり、ナベヅルが衰弱し保護収容を検討しなければならない事態になった時、いきなり困るのが「ゲージ」がない、という現実なのです。

Picture

元日、大神山神社の階段から二見湾を臨む

あけましておめでとうございます。
HPをごらん頂いている皆様、本年もよろしくお願いいたします。
発達した低気圧の通過となった大晦日は大荒れの暴風雨となり、全ての年越しイベントンなどが中止(土砂降りの中の撤去作業)となりました。おがさわら丸は、なんとか夜8時過ぎに入港し、ははじま丸が根性の大晦日の特別運行をしました。
さてなによりも主人公!なのですが、今日の午後1時半頃、父島二見湾上空高くを飛ぶナベヅルを目撃しました。高度を下げていく途中で見失いました。どうやらまだ、父島周辺にはいるようですが、行動範囲が変化しているようです。今後は主人公の写真をお届けするのは難しそうですが、情報だけは引き続きお伝えします。今日は、二見湾内で「タイマイ(ウミガメ)」の目撃もあったようです.元日は、ツル&カメのおめでたいお話となりました。
====ここ数日の情報=====
アイボ(当研究所)でナベヅルをキャッチできなくなったのは29日から.この他の情報は以下。
その1:12月28日にははじま丸の中から二見湾上空高くを飛んでいる個体を目撃。
その2:12月30日に西町(洲崎とは二見湾をはさんで対岸)の外れで降りている個体を目撃。
====今日の目撃詳細(島の人しかわからない細かい記述ですがお許しを)====
2003年1月1日、大神山神社に初詣に行こうと青灯台(写真:海に突き出た突堤)近くに車を止め、(観光客が溢れているので)左右を確認してから横断歩道をわたりましょう・・と、その時!おがさわら丸の背後すれすれを大きく羽ばたく影が過ぎた(13:30)。なにかわからないがとにかく大きい、その後、背景の旭山とだぶり一時見失うが、やがて山の背景から抜け出して、清瀬上空付近から大神山上空へと旋回しながら急上昇していく姿を発見(13:33)。肉眼ではオジロワシサイズのミサゴ???!!、双眼鏡で捉えるとまちがいなくナベヅル。まるでオガサワラノスリのように、完全に上昇気流をつかんでおり、小刻みに翼の先端を使うが、大きな羽ばたきはまったくしないまま、グングンと上昇していく。わずか1〜2分で、背景となっている父島の山並み(海抜100〜300m程度)より、はるかはるか上に昇ってしまった。高度は不明だが(数百m、それ以上?)、最後は肉眼では「点」、双眼鏡(8倍)でも細い線のシルエットになった。「このままでは見失う」と思った矢先、洲崎方面(湾の入り口方面/写真:対岸右手方向)にむかって翼を開いたまま一気に降下を始め(13:37)、二見湾の上、背景の山より低くなったところで見失った(13:38)。飛行の軌跡から、洲崎、小港、扇浦、さらに念のため戻って西町等を探すが見つからなかった。

Picture

洲崎から二見湾を望む(12/31撮影)

空は明るいけれど、切れ目のない一面の雲で覆われている年末最終日の父島です。今年11月から突然始まった当コーナーですが、主人公がいないままに年を越しそうです。昨日の夕方洲崎にはツルのかわりに?コサギがいました。おりしも今日、入港予定の唯一の交通便「おがさわら丸」は機関故障だとかで、午前中の到着予定が午後22:30になるという放送が流れました。観光客、帰省客、降りたらもうカウントダウン。さてナベヅルは今度こそ本当に旅立ったのでしょうか?
===写真解説====
ツルがよくいた残土捨て場や道路をとりまくモクマオウやギンネム林を抜けるとすぐに、大きく内側に開いた天然の良港、二見湾が広がります.12月25日の「ナベヅル旅立つ!?」騒動の時、ナベヅルはちょうどこの写真の中央に見える対岸めがけて、ほぼ真北方向に湾の上を軽くひとっ飛びして見えなくなったのでした。さて、今回はいずこへ。写真を撮ったのは午前10時過ぎ。毎年お正月を小笠原で過ごす大型客船が湾に入ってきました。