最新情報

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3月下旬に父島列島南島でツル目撃の情報がありました。気にしていると、連絡が入り、31日に父島前浜(大村海岸)付近で確認することが出来ました。ツルはナベヅルでした。日本最大のツルの越冬地となっている鹿児島県出水市では、すでに北帰行が2月より始まっていましたので、その帰路に、まさに迷行しての飛来だと思われます。ナベヅルの飛来は、2002年12月-翌1年の事例以来(詳細は、本コーナーの左にあるナベヅルボタンクリック!)、8年ぶりの出来事となりました。明るく咲き乱れるブーゲンとナベヅルの景色は、なんとも不思議で楽しいものでした。上記の鹿児島県出水市では、昨年の12月に高病原性鳥インフルエンザに感染したナベヅル数羽が確認され、一万羽以上にもなるツルたち(ナベヅル、マナヅル、クロヅルなど)への影響が大変に心配されていましたが、大きな被害に至らずに済んだようです。なお、南の島のナベヅルくんは、北へ飛び立つことなく、残念ながら小笠原で死亡しました。

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2008年1月、父島でアカガシラカラスバトを絶滅からすくうための保全計画をつくるための国際ワークショップが開催されました(このコーナーでも紹介)。島内外から120名以上の参加をえて、丸3日間、準備会合から含めると、とても沢山の時間と、沢山の人たちによって、実際に、絶滅危惧種の生息する現地で、垣根をこえた話し合いが行われました。
その結果、多くのアクションプランがつくられ、この3年間で、さまざまなプランが実行されました。
そのワークショップで、1年に1度、集まって、アカガシラカラスバトの現在を確認し、未来にむける日にすることが決まりました。あかぽっぽ と いう愛称が決まったのも、ワークショップでした。

今日は、3年目の あかぽっぽの日。
ワークショップに参加した人も、参加していない人もも、アカガシラカラスバトを知っている人も、知らない人も、おさそいあわせの上、ぜひ、ご参加ください。

地域福祉センター 夜7時〜

ねこ待ち通信でもお伝えしておりますが、明後日20日(日)、東京大学農学部一条ホールにて、東京都獣医師会主催による小笠原シンポジウムが開催されます。2005年にはじまり今に続く、小笠原の野生動物を守るための山域ネコの捕獲。そして、前代未聞の東京への搬送受け入れ。文字通り、官民の垣根をこえて、地域もこえて、立場もこえて広がった協働の輪によって、絶滅の淵にあるアカガシラカラスバトたちの未来が支えられています。このコーナーで、小笠原の野生鳥獣にご興味をお持ちのみなさまは、ぜひぜひ、当日足をお運びください。興味深く、また深い講演だけでなく、当日はロビーでも多数のポスター展示や、小笠原物産のご紹介もいたします。島からスタッフもやってきます。ぜひ、真冬の東京で、熱い小笠原に会いにきてください!!12東大 農学部 一条ホール(東大前駅=地下鉄 南北線)1213時から17時「いのちつながれ小笠原」12http://www.tvma.or.jp/contents/wildanimal/

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戻る前に、翼を力強くバサバザ。
ウォーミングアップのオナガミズナギドリ。
ほとんど日焼けしていない羽色 グレーが鮮やか。

ご無沙汰してしまいました。11月後半より、今年もオナガミズナギドリの巣立ちシーズンを迎えました。年により、集中型、バラケ型など変化がありますが、今年はややバラケており、かつ、時期も後ろに遅れ気味のようです。さて、このオナガミズナギドリ、過去の巣立ち鳥の不時着事例の解析と、父島列島最大の繁殖地となっている南島における約10年間の調査から、かなり絞り込んだ、巣立ちの予測が出来るようになりました。くわえて、これまでの不時着鳥の回収内容から、保護にもっとも有効なのは、飛来直後、つまり夜のうちに積極的に回収して翌日放鳥する のが一番であることもわかってきました。
このようなことからIBOでは、数年前より繁殖地で十分な準備が出来ていること(=ほとんどの雛鳥において、巣立に十分なサイズ、部位の成長が見られること)、過去の不時着回収の経験値からの気象予測、この両者の組み合わせから、「いよいよ今夜から巣立ち=夜間不時着が始まるかもしれない!」というオナガミズナギドリ警報!?を島内に流し、夜間パトロールも実施する(誘引効果の高いと思われる人工照明を重点的にする)を開始しました。これにより15年前までは、ふつうにみられた 朝の交通事故や、犬ネコに襲撃された死体の回収が激減してきました。
以前も書きましたが、無人島の調査経験から、巣立ち直後の不時着というのは、ごくふつうの出来事だと思われます(朝までに、みな海岸から去って行きます。もしかしたら、巣立ち鳥の学習に必要である可能性すらあるかもしれません)。 ところが、父島や母島では人間活動による人工照明があり、これにより、光に集まる習性を持つミズナギドリの誘引効果が更に高まり、かつ不時着後は、ネコ、交通事故の危険にさらされるわけです。自然の摂理とは、呼べない有人島特有の人為影響。たとえば、地球や生き物に優しい時代といいますが、日進月歩の省エネルギーの大光量ライトでも、海鳥に優しいわけではなさそうです。この時期の、省光量化や、海鳥巣立ち警報、夜間回収(海鳥探しWALK週間なんかも楽しいかもしれない)などが、 海鳥たちの大繁殖地とともに暮らす小笠原の知恵として、暮らしの中に根付いてほしいものです。