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連日です。町中からHELPの電話。小さな父島、町はだいたい海のすぐそば。到着すると、右翼付近を大きく負傷したムナグロが道の上に倒れ込んでいました。出血が激しく、反応のとてもはやい小笠原のアリ達がすでに列をつくっていました。右翼つけね付近は、複数箇所に傷があり、右脇腹にはネコと思われる爪で押さえ込まれた痕跡がありました。主に集落地域で回収される傷病鳥獣のうち、約10%程度がネコの襲撃によるものです。傷からばい菌が入ったり、爪が背中から急所に届いていたりと、保護された場合にも、その後、野生復帰できたケースは、ほとんどありません。このムナグロも残念ならが死んでしまいました。さて、かつて、奥村や洲崎に大きな干潟あった時代、そこには今からは想像もできない程の、旅鳥たちが訪れていたはずです。そして、そこでは限定的ながら循環的な生物のつながり、物質のうけわたしがあったのではないかと、想像されます。今では訪れる鳥たちの数は減り、代替的に奥村グランドや自衛隊グランドが使われて、ネコとの遭遇率も自然とあがっているのでは? そう空想する事があります。今朝のムナグロが確かにいた証は、今となっては回収箱に残った血痕と、少し抜けた羽毛と、フンの跡。訪れていた沢山旅鳥達のフンの行方は・・・・。あっという間に動かなくなってしまったムナグロを手に、考えさせられた朝でした。

Thanks Monde san

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1日に保護されたアナドリ。海へ戻っていきました。小笠原は大きくまとまった雲がかかり、けっこうな雨が続いています。今日は、ひさしぶりの気がする晴れ間。長持ちしない予報になっていますが・・・さて、どうなりますか。夏繁殖のアナドリの巣立ちまっ盛り。小笠原のおそい夏も、ようやく過ぎていきます。

Thanks Tomoko_san Sea-Tac

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季節柄・・? 早い更新が続いています。先日、台風12号通過後の海鳥センサスに行きました。夏繁殖のアナドリの巣立ちと重なるこの時期、先日書いたように、海鳥の繁殖規模に異変があった可能性の高い今年。自然の摂理とは理解しながら、1羽でも多く、乗り越えろよ! と、内心つぶやきながらの調査行きでした。さて、南島では「ところ」により明らかな運・不運が見られました。例年繁殖成功率の高いブロックで、営巣環境の崩壊などがあり、いつも風当たりが強いところで多くのヒナが生き残っていました。父島の中も同様で、局所的な大きな被害と、風がまるで通らなかったのでは?(風が風を防ぐ、偶然の風防が発生したのかもしれません)と思うような ところと、ずいぶんとかわった台風だったように思います。直撃と言える距離だったので、風向が時間により変わり続けたことも関係が深いと思われます。さて、長くなりました、台風をのりきってか、最中にとばされたか、そんなアナドリが運ばれてきました。羽色、太り具合などから、巣立ち直後の鳥に間違いなさそうです。さて、巣立ち時期の保護鳥は、回復率が大変に低く、本来自然においても、巣立ち期は、自然脱落の大きな関門です。これらの海鳥をレスキューする理由を考えるには、実は、大きな時間軸を持って、過去から遡り、現在を見る必要があります。このあたりのお話も、近々してみまししょう(さて、いつになることやら)

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台風で父島に迷い込み、保護されたガーコ、いやカツオドリを無事に放鳥しました。ご飯を食べて体力をつけ、怪我もないことが確認されたガーコ。お昼すぎに宮乃浜へ連れて行きました。すっかり透明度を戻した輝く景色。でも、裸で泳ぐ観光の方にはわからないかもしれませんが、少しヒヤッとする風。もう真夏ではないのだなぁ、と感じました。さて、ガーコくん。しばし、お家となっていたダンボールをよじ登るや、熱心に海と周辺を大観察しました。そして、大きく羽ばたいて・・・・・とはいかず、フワッと浜辺に降りると、波打ち際まで、モンローウォーク。少し佇んで、そのままwater in 。あとは、ハクチョウボートのように、足こぎで進んでは、すこし羽ばたき、ちょっと先へ着水。また、足でこいでは・・・・の繰り返し、兄島瀬戸手前まで進んだところで、ようやく落ち着いたのか、ドタバタ、あばれて、大・海水浴を開始しました。多くの海鳥の保護個体が、放鳥後に海水浴&羽繕いに熱中します。時には30分以上も。終わった頃には、浮力が大アップ。荷物を積んでいない船のように浮かび上がります。羽根の防水、保温能力などを取り戻すために必要なこの儀式ですが、知らない人は海鳥が溺れているように、見える場合もあるようです。特にカツオドリは、白いお腹を反転させて豪快にバタバタするので、はじめてみる人はビックリしてしまいます。さて、ガーコくん、羽繕いをしながら、ゆったり東へ流れていきました。

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27日の朝、父島扇浦から「ふだん見かけない鳥を保護!」との連絡を受けました。緑色の特徴的な足、まだ幼鳥ですがバンでした。周辺からも情報があり、25日にやってきた台風12号通過後から、親子連れが目撃されているようです。1990年代から、同じような幼鳥がたびたび観察され、父島への定着が疑われている鳥です。しかし、これまでピヨピヨサイズの明らかに飛翔能力のないヒナの親子連れは目撃されていません。・・・・・やはり、台風や低気圧等で時々とばされて、あるいは渡ってくるのでしょうか。残念ながら保護鳥は28日に死亡しました。野生動物にとって台風は、厳しいハードルです。観察されている親子連れには生き残って欲しいものです。

Thanks Yukino&Nori-san12