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 小笠原の海鳥の代表といえば、やはりなんと言っても「カツオドリ」です!(島ではガーコとも呼ばれてます)翼を広げると145cm、頭や身体の上面、翼の上面は黒褐色で、腹は白色、くちばしは黄色という印象的な大型海鳥です。日本では伊豆諸島、小笠原諸島、南部琉球等で繁殖し、父島付近では南島が代表的な繁殖地です。数日前に、まだ真っ白の産毛に包まれたヒナが持ち込まれました。聟島列島媒島近くの海で、発泡スチロールに乗っかってかろうじて浮いているところを、ドルフィンスイムの観光船に救助されました。海に面した崖上の繁殖地からの転落が考えられます。父島での収容時には、体温は低下し、眼はくぼみ、胸・お腹も凹んで、かなりの衰弱がみられました。徐々に栄養を補充するなど、数日かけて体力の回復をはかり、現在はエサのムロアジ(1本)を、自ら3本/1日丸飲みにするまで元気になりました。現在、当研究所では、行政機関からの飼養依頼を受け、巣立ち放鳥を目指し飼育中です。
WANTED 小笠原にお住まいの方へ
新鮮なムロアジ(和名クサヤムロ)、シマムロ(和名クマザサハナムロ)、イワシ(和名ミズン)、ウメイロモドキ、をご寄付。ご提供頂ける方、大歓迎です。これから10月の巣立ちまで1日3本以上飲んでしまいます! (新鮮なイカ等でもOKですが、コーラルフィッシュはだめです)、またダンボール箱や古新聞紙、ぼろ布のご提供も大変助かります。ご連絡は04998-2-3779 小笠原自然文化研究所 鈴木創まで 

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保護されたヒヨドリのヒナ

巣立ちヒナを見つけたら、どうする?
このヒヨドリのヒナは、巣から離れ道路に降りてしまい、通りがかった人に保護されました。現場は父島の主要道路でしたから、まだピョンピョン飛のヒナはそのままならば車にひかれて死んでいたでしょう。道路から拾い上げたことは、このヒナの命を救いました。けれど「親とはぐれたヒナ」と思われたために私たちのところに運ばれてきました(数日の保護の後、。私たちは、まず発見場所近くにヒナを戻し、遠くから双眼鏡で観察して親鳥が来るの待ちましたが、残念ながら親鳥は現れませんでした。ヒナが路上で拾われてから3日以上が過ぎていました。多くの鳥のヒナは成長すると、巣の外を出歩くようになります。満足に飛べず、好奇心いっぱいのこの時期は、命の危険が高いのですが、たいがいヒナの近くには親鳥がいて、エサを運んだり様子を見たりしているのです。では、たとえば、尾羽の伸びきらないヒナを道路上で見つけたらどうするか?!!
そんな時は、近くの木の枝など、安全なところにヒナを移して、素早くその場を離れてください。ヒナの安全のためにも、これが一番なのです。

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成長したメジロのヒナ

メジロのつづき。生まれたてのヒナは、毛もなくて「ホントにこれが鳥?」と言いたくなる姿ですが、やがて身体の羽毛や翼となる羽根が伸びてきて、数日で誰が見てもヒナに変身します。でも、メジロのトレードマークの「目の回りの白」が表れるのは最後の最後、尾羽が伸びて、すっかり鳥らしくなってからのこと。写真は前回に紹介したメジロで、すっかりメジロらしく成長し、上手に水浴びもした後の写真です。
この時期、メジロやヒヨドリなどの巣立ちヒナが、巣を離れあちこちを危なっかしく歩き回っています。しかし、かならずどこかに親鳥がいますから、こんな鳥を見つけても、そっとしておきましよう。もし、道路など危険がある場合は、近くの安全な木の枝などに留まらせて立ち去るとGOODです。
★現在、小笠原群島において繁殖している陸鳥は、ハハジマメグロ、オガサワラノスリ、アカガシラカラスバト、オガサワラカワラヒワ、オガサワラヒヨドリ、イソヒヨドリ、トラツグミ、モズ、ハシナガウグイス、イオウジマメジロの10種です。

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保護された当時のメジロのヒナ

8月に入りました。今、小笠原は陸鳥の巣立ち期を迎えています。今年は5〜6月にもメジロなどの巣立ちヒナが見られました。6月の梅雨を挟むように2度の繁殖があったのかもしれません。
今日の写真は先日母島の道路工事で親鳥が事故に巻き込まれたメジロのヒナです。保護時には、まだ羽毛はなく、頭、目、くちばしだけが大きい御覧のような姿でした。この2羽は当研究所で飼養依頼を受け2週間程度の父島リハビリ(足に不具合がありました)を行い、自然放鳥への目途がたった8月初旬に無事「ははじま丸」で母島に里帰りしました。現在ふるさとで最終野生復帰訓練中!?です。
◆道ばたなどに落ちている鳥の巣(使用済み)を見つけたら当研究所までご連絡下さい。レスキューに役立ちます!

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アナドリ

春から夏にかけて、父島、母島などで目にする海鳥で、前回ご紹介したオナガミズナギドリについで不時着等が多いのはアナドリです。アナドリはミズナギドリ目ミズナギドリ科の海鳥で、体長26-28cm、翼長68-73cm程度と小さな鳥です。文字通り陸上に穴を掘って営巣します。父島周辺では南島などで繁殖が確認されています。海上では優雅なグライダー飛行を見せるオナガミズナギドリと異なり、小刻みな身の軽さを感じさせる飛行術を見せてくれます。類似種としては、ほぼ同じ大きさで同じ色合いのオーストンウミツバメ(ウミツバメ類ウミツバメ科)がいます。くさび型のアナドリの尾と異なり、燕尾型に深く切れ込んだ尾が特徴で、飛翔時もより軽く、こちらはハラッ・ハラッとトリッキーな動きを見せてくれます。