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 ガーコ(カツオドリ)はその後、どうなったのか? と複数の方からご連絡を頂きました。しばらく書き込まなかった10月11日から10月24日の間に、ガーコを青灯台(父島二見港)から引き離すべくトライ&エラーは繰り返されていました。青灯台でのエサやりをストップし、日に数度のパトロールをして、岸壁に姿を見つけると追い払うことを繰り返しました。陸上移動で青灯台以外の場所へ行き、小港1回、洲崎1回、コペペ2回で放鳥を、さらにはボートで南島沖からの放鳥3回。初寝沖1回等を繰り返しましたが、すばらしいコンパス能力で、その日のうちに戻ってきました。戻るまでの数時間の間に、沖にいる同い年の若鳥に交じることもあり、飛ぶ技術はすっかり一人前になりました。しかし、エサだけはコントロールできませんでした。島のちびっ子をふくめて、給餌にも協力してくれていた多くの人の理解と協力でできる限りの断食をさせましたが、入船ごとメンバーが替わる観光の釣り人さん達への周知徹底は難しく、どこかでエサをやってしまうことが繰り返されました。

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保護されたオナガミズナギドリ

この期間、オナガミズナギドリも保護されました。アナドリと異なり成鳥です。アナドリが巣立ちを迎えるこの時期、今年生まれのオナガミズナギドリ達はまだ穴の中にいます。そろそろ親鳥の姿は見られなくなる頃なので、もしかしたら季節がわりの海上で南下する大集団に会えるかもしれません。例年ですと。11月下旬頃に巣立ちヒナと思われる不時着が集中します。以前もお話ししましたが、外傷等はなくとも、放置すると父島や母島では、車かネコにやられてしまうため、一時的に保護してあげることが必要です。

 しばらくお休みしてすいません。小笠原でもいよいよ夏が終わり、海にはいるにも肌寒くなり、日射しにも秋の気配がかんじられるようになりました。さて、10月に入ってから、いくつかの鳥が相次いで当研究所に運び込まれました。中でも多かったのはアナドリ。一回り小さく感じられるほど、痩せて、海水がしみるほど羽にも油のない数羽は、おそらく巣立ち直後の鳥だと思われます。長生きする種類が多いといわれる海鳥類ですが、巣立ち後しばらくの間は、もっとも危険の高い時期です。

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青灯台で海を眺めるガーコ

8日から続けて、9、10日とガーコは青灯台に1日1回は戻り、水中でエサを獲ると帰っていた。11日再び沖に連れて行った。丁度、若鳥が群れて飛ぶ場所を発見!これはいい!とそこへ向かった。頭上を群れ飛ぶカツオドリの若鳥は、時には低く低く船まで近づいてきた。しばらく見上げていたガーコは、やがて自然に飛び出した。喜んだのも束の間、1時間ちょっとでガーコは青灯台に戻ってきた。何度も何度も岸壁に降りてくるガーコを、何度も何度も追い払った。人のいないところへ器用に着地点をかえる飛行技術ももう問題ない。人間が鳥に教えられることは、もう何もない。区切りがきた。これからはガーコの「青灯台離れ」の段階だ。ひたすらにエサを与えずに追い払うことにする。ガーコを見ている皆さまにもご協力をお願いします。

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ただいま飛行訓練中

飛び出したガーコは、岩を回るが飛び乗らず、Uターンして少し先の海面に降りた。同じ成長具合の他の若鳥と並べて見ることでわかったのは、ガーコはまだ羽ばたいて飛ぶ直線的な飛行がメインで上手に風に乗れていないということだ。直線的に羽ばたいて飛んで、疲れると海に降りて休み、また飛び立つが・・・の繰り返し。また、回りの鳥の反応、ガーコ自身の反応から、これまで南島海域までは飛んできていないことが考えられた。南島周辺の若鳥も、南島や近くの岩上を拠点にして、訓練?練習?をしている様子。今のガーコにとって一番安心できる行動の中心点はおそらく青灯台になっているのかもしれない。飛んでは休む、を繰り返すガーコに回収も考えたが、1羽の若鳥のあとを追いかけはじめたので、そのままその場を離れた。その後、夕方前にはガーコは青灯台に戻っていた。海へ泳ぎだし水中でエサをやると、驚いたことに、はじめてバシュッと本格的なダイビングを見せた、上からというより斜め入る感じでだけど。また、湾の上を飛び回る際に、上昇と滑空を組み合わせたグライダー飛行も初披露した。数時間、他の若鳥に交じっていただけで、これまでのペースでは考えられない技術進歩をとげた。