最新情報

Picture

クサトベラ、モンパノキは彼らの餌木になっていた

孵化して半年頃まで、まだ幼羽が多いアカガシラカラスバトは、発色が悪く、頭も赤くありません。この夏には「あれ、赤くないねぇ」という声もチラホラ。
島の子どもはよく見ていて「クロポッポ」と呼び始めました。そう、この夏話題になったアカガシラカラスバトは、調べてみると、そのほとんどが今年産まれの若鳥でした。それともう一つ、初夏には「アカガシラカラスバトが集落に出た、人里に降りた」という声がきかれました。街中のガジュマルに飛来した、畑の果実の種子を食べに来た、というわけです。たしかに最初はそうでした。
しかし、ガジュマルの種子がなくなっても、彼らは出現したのです。はりついて観察をつづけると、何種類もの在来の海岸林植物の種子や、芽を食べていることがわかってきました。バラバラにおもえた出現各所の共通項が、急速に見えはじめました。クロポッポたちは、海岸林やその分布域に出てきていたのです。

Picture

写真は8月下旬 薄明薄暮の道路脇

アカポッポは、その後も出続けています。そして、心配されていたことがおこりました。まず、建物への衝突。ハトやトラツグミのように、羽ばたきが強く、瞬発力がある鳥では、とくにガラスやネットなどへの衝突が起きやすいのです。それでも、アカガシラカラスバトは、大変に数が少ないので、過去に1度、母島で電線に衝突死した事例があるのみでした。建物で2例目、3例目が発生、1例は死亡しました。また、交通事故も複数発生しました。近くに餌がある状況で、道路を低空で横切った、あるいは路上でひかれたものでした。ネコには公園で襲われました。アカガシラとネコのニアミス事例は、何度も繰り返し確認されました。建物、車、ネコ。このコーナーで10年来、あつかってきた海鳥のレスキュー要因そのものであり、人の活動域内でこれまでもずっとおきてきた、予想された事例とも言えるでしょう。

Picture

写真は昨シーズン調査時のもの.
羽ばたき練習をするクロアシアホウドリのヒナ

クロアシアホウドリが海上を飛行していた という情報を、東京都水産センターの調査船・興洋と、小笠原ホエールウォッチング協会から頂きました。巣立ちは6月頃。巣立ち個体がうろついているにしては遅い。飛来は10月下旬から。回帰個体にしては早い。今年は初夏まで海水温があがらなかったり、台風がうろついたり、いつもと違うことが多そうな予感です。ひょっとすると多彩な旅鳥が期待できるかもしれません!?

Picture

この夏の主役は、まだ十分に
発色していない若鳥たちだった

2012年の夏は、アカガシラカラスバトの絶滅回避を考える上で、エポックとなりました。本コーナーや「ねこ待ち通信」にあるように、絶滅危惧種のハトたちが、何羽も、そして連続して出現したのです。実はごく少数の個体が、夏に集落や畑に出る現象は10年前から観察されていました。しかし、あまりにも数が少なすぎて、出現の傾向を分析するまでには至らなかったのです。それでも少なくとも父島では、ここ3〜4年、確実に夏の情報は増えていて、それがこの夏で花開きつつある・・・そんな様相です。観ることの出来なかった絶滅危惧鳥を観ることができる、これは素晴らしいことです。この夏、沢山の島民が自分の目で、幻のハトを確かめることができました。嬉しかったのは、お母さんと子ども、お父さんと子ども、おばあちゃんと孫、子ども同士などなどで、しゃがんで静かにハト観(ハトミ)を楽しむ姿が見られたことです。その日の夕ご飯では、アカポッポが話題になったに違いありません。(つづく)

Picture

すこしばかり季節外れのシロハラミズナギドリ。6,7月に巣立っていれば、もうこの海域にはいなくても良いのですが。夕方に街の灯りが見えない浜辺から放鳥しました。